宿毛での打ち合わせが終わり、高耶はバイクを停めた駐車場へと向かっていた。
途中、廊下の窓から外を歩く直江の姿を見かける。
ペットボトルを手に、足早に歩いている。
(………?)
向かう方向には、特にこれといった施設もない。
少し挙動不審だ。
何かを企んでいるのなら放っておく訳にはいかないと、高耶は後を追った。
「何やってるんだ」
急に背後から声をかけられて、直江は驚いた。
振り返るとそこには腕組みをした高耶が立っていた。
まだ話すつもりはなかったのに知られてしまったバツの悪さから、直江は笑顔を浮かべた。
「ここの敷地の角に転がっていたんです」
直江の足元には同じ植物の鉢が、四つも並んでいる。
葉からいって、ランの一種のようだ。
「花が咲くと思いますか」
言いながら、ペットボトルの水を鉢に注ぎ始めた。
「すぐには無理だろうな」
そう言って鉢の前に屈み込んだ高耶は、なんでまた、と問いかけてきた。
「好きだったでしょう?」
遡る事二百年。江戸の頃には、どんな家にもこういった古典植物の鉢がひとつやふたつはあって、鉢を見れば家主の心根がわかるなどと言われたものだが、景虎の家にもよく手入れされたものがいくつか並んでいたのを思い出したのだ。
「……もうどれだけ前になると思ってるんだ」
高耶はそう笑うと、直江に向かって手を差し出した。
「お前には無理だろ」
どうやら自分でやりたいらしい。
直江は苦笑いでペットボトルを渡した。
途中、廊下の窓から外を歩く直江の姿を見かける。
ペットボトルを手に、足早に歩いている。
(………?)
向かう方向には、特にこれといった施設もない。
少し挙動不審だ。
何かを企んでいるのなら放っておく訳にはいかないと、高耶は後を追った。
「何やってるんだ」
急に背後から声をかけられて、直江は驚いた。
振り返るとそこには腕組みをした高耶が立っていた。
まだ話すつもりはなかったのに知られてしまったバツの悪さから、直江は笑顔を浮かべた。
「ここの敷地の角に転がっていたんです」
直江の足元には同じ植物の鉢が、四つも並んでいる。
葉からいって、ランの一種のようだ。
「花が咲くと思いますか」
言いながら、ペットボトルの水を鉢に注ぎ始めた。
「すぐには無理だろうな」
そう言って鉢の前に屈み込んだ高耶は、なんでまた、と問いかけてきた。
「好きだったでしょう?」
遡る事二百年。江戸の頃には、どんな家にもこういった古典植物の鉢がひとつやふたつはあって、鉢を見れば家主の心根がわかるなどと言われたものだが、景虎の家にもよく手入れされたものがいくつか並んでいたのを思い出したのだ。
「……もうどれだけ前になると思ってるんだ」
高耶はそう笑うと、直江に向かって手を差し出した。
「お前には無理だろ」
どうやら自分でやりたいらしい。
直江は苦笑いでペットボトルを渡した。
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