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彼と一番最初に出会ったのは、春日山の城内だった。
次に出会ったのは死後、越後で。
それから何度も何度も出会った。
それはこの先ずっと変わることがないのだとどこかで信じていた。
けれど、"あの日"からもう二十年以上が経つ。
何故そんな幻想を信じていたのか?
不安と疑念の渦の中で、縋るように考える。



もう二度と会うことはないかもしれないという別れを経ても


また出会うことができたのは


自分が彼と再び出会うことを望んだように


彼もまた強くそれを望んだからではないか



地球上のどこかにいるはずの景虎に呼びかける。
見つけて欲しいのなら、もっと強力に想いなさいと。
自分もなにものにも負けない強さで、あなたを欲するから。
何よりも強く、再会を信じるから。
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見返りなんていらない
そんなものを欲しがる感情を
自分も彼も信じない
ただ彼の傍らに居られればそれでよかった
彼への愛情も憎悪も
すべては自分自身の為だった
彼自身は無関係で
ひとりで乗り越えるべき問題だった
だからこそ、ここまで拘ってきたのだ

それなのに
この彼を求める気持ちは何だ
何故ここまで期待と不安をもって
彼の一挙手一投足を見つめてしまうのか
何故ここまで彼の何もかもを
手に入れたくてしょうがないのか

愛情でも憎悪でもなく
そのどちらでもある全てで
彼を欲する気持ちがいま
際限なく溢れてとまらない

命とは、儚いもの。
真理のようにあるその言葉。

誰よりも儚くあってはいけない人が、
今その言葉に試されている。

なぜ彼でなければならないのだろう。
自分はいったい何を呪えばいいのだろう。
誰に頼めば彼は救われる?

───時の果てまで生きて確かめてやる!

もう、呪うのも頼むのも祈るのもやめた。
他の者など信じない。

自分は要求する。
出来る限り最大限の行動をもって、
運命と、この世界と、己自身に。

諸行がどうしても無常であるというのなら、
史上で最も永いうたかたを彼に。

あなたという存在の確かさ。
それを永遠に。

証明したいのは苦しみの長さや大きさではなく、
はるかな時をも超える思いの強さ。

それがわかっていれば、
どんな困難も乗り越えて行ける。
どこまでも続く道の存在を
信じて歩いて行ける。

あなたという存在の愛しさ。
それを永遠に。

 地球上のヒトの数、生命の数、
 過去や未来も含めればそれこそ無限の数の、真実がある。

 彼は、そのそれぞれを蔑ろにしたくないと言った。
 否定したくないと言った。
 彼は、生命の"真実の望み"の力を信じていた。

 思いやりをもって他者を尊び
 真実をもって生に挑む

───………

 小さな声でその名を口にする。
 自分の真実はいま、あなたに届いているだろうか。
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